弁護事件例

2017.05.06 【放火】現住建造物等放火

現住建造物等放火未遂事件で執行猶予を獲得した事例

執行猶予
裁判員
保釈

事案の紹介

元職場の社長の自宅に、灯油を用いて火を放ったが、建物の焼損には至らなかったという現住建造物等放火未遂事件。

弁護活動

依頼人は、事件直前、長年、職人として努めていた飲食店を辞めました。そして、その飲食店の社長をしていた人物の自宅に灯油をまき、ライターで火を放ったとして逮捕されました。
国選弁護人としてこの事件を受任しました。依頼人に話を聞くと、飲食店を辞める前から社長の対応に不満が募っていたということでした。私たちは、こうした不満が原因で、火を放ってしまったのかとまず考えました。しかし、依頼人と社長とは、長年家族のような付き合いがありました。二人の関係からすると、不満が募って火をつけたと単純に割り切るのは難しいように思いました。何度も何度も依頼人と接見を重ね、話を聞くうちに、依頼人が事件の直前に持病を悪化させて仕事がうまくできず、苦悩している様子が明らかになってきました。それで精神的に追い詰められ、自暴自棄になってしまったように感じられました。そのことを、きちんと裁判で理解してもらわなければならないと考えました。
被害者である社長さんも、被害者であるにもかかわらず大変依頼人を心配してくださっていました。示談を取り交わし、法廷でも依頼人のために証言をしてくれました。
依頼人は起訴後保釈され、身体拘束から解放されたまま裁判を受けました。
依頼人が当時苦心していた気持ちなどを重点的に裁判で伝え、この事件では執行猶予判決がふさわしいことを主張しました。
結果、依頼人には執行猶予判決が宣告されました。今は、依頼人は通常の生活に戻って日々を送っています。