事案の紹介
被告人が同居していた婚約者の首をしめて殺害したとの事案。被告人は事実を争わず、刑の重さが争点となった。被告人は長年、同居していた婚約者からの暴言や暴力を受けており、本件も被害者の暴言や、被告人の顔にフォークを突き刺す暴行がきっかけとなったものであった。
弁護活動
裁判員裁判において、被告人が有罪であるとしても、動機には酌量の余地があることから、重く罰するべきではないと主張しました。被告人は被害者からの暴言について録音して保存していたため、一部の音声データを法廷で再生した。検察官は、被告人側からも暴力をふるっていた可能性について指摘していたことから、被害者の遺体を解剖した法医学者を尋問し、継続的な暴力の跡などは見られないことを明らかにし、本件犯行が突発的なものであったことを主張しました。また自首の成立も主張しました。
判決では、被告人が被害者から度々受けていた暴力や暴言に激しいものがあり、被告人が不満等の感情を鬱積させるに至った経緯に同情すべき面があることは否定できないとされましたが、被告人にもその原因の一端があり、鬱積した感情を抑えられなかった点で身勝手であり、大きく酌むべき事情があるとはいえないとされました。
結論は懲役12年でした。