事案の紹介
依頼者は、複数の知人と共謀して、被害者を殺害したとする殺人罪の共同正犯として起訴されました。依頼者は、被害者の殺害に協力したり、殺害することを誰かと話し合った事実はなく、無罪であることを主張していました。
弁護活動
担当弁護士は、国選弁護人として受任しました。
本件は、実際に被害者を殺害した実行犯Aが、「殺害することを知人のBから指示された」「Bから殺害の指示があったことを、殺害現場にいた3名にも伝えて、殺害を協力してもらった」といった供述をしていました。検察官は、依頼者について、Aから殺害の指示を伝えられ協力した3名の中の1人であるとして起訴していました。
裁判では、上記のようなAの供述が信用できるのか、という点が最大の争点となっていました。
弁護人は、Aの供述が、連絡手段となった電話の通話履歴等と整合しないことや、逮捕直後から不自然に変わっていっていること等を指摘して、依頼者を含む他人を「引っ張り込む」供述をしている可能性が高く、信用することはできないということを主張しました。
判決は、弁護人の主張を受け入れて、殺人罪について依頼者について無罪判決を言渡しました。依頼者は、本件とは別に薬物使用事件(公訴事実を認めているもの)でも起訴されていたため、同事件について有罪判決を受けました。
この判決は、検察官から控訴されることなく確定しています。