事案の紹介
実子(0歳)の様態が急変し、その後搬送先の病院で亡くなった事件でした。父親であった依頼者は、様態が急変した直前に頬をつねるなどした行為について、傷害罪の嫌疑をかけられ逮捕されました。暴行と死亡の因果関係が認められた場合には、傷害致死罪の責任を問われる可能性がありました。
弁護活動
捜査機関は、依頼者の取調べを繰り返し行い、子供に対して行ったことを詳細に記録した供述調書を作成しようとしましたが、依頼者は死の危険につながるような暴行をはたらいた記憶はありませんでした。弁護人は接見を重ね、依頼者に対して供述調書には一切署名しないよう助言を続けました。依頼者は、署名拒否を徹底し、あいまいな記憶をもとに不利な内容の証拠が作成されることを回避しました。
依頼者は約20日間にわたって勾留され、いったん釈放されましたが、捜査機関は、今度は同居していた妻に対しても暴行をしていたとの嫌疑により依頼者を再逮捕しました。
弁護人は、再逮捕・勾留は、実際には子供に対する傷害事件の取調べを「蒸し返し」て行うことを意図した違法な捜査方法であること等を主張し、準抗告を申し立てました。裁判所は弁護人の申し立てを認め、依頼者を釈放しました。
依頼者は、釈放された後も、任意で警察に出頭して事情を説明しましたが、弁護人はその際も警察署の建物まで同行し(取調室への入室は警察が固辞しました。)、助言を行いました。捜査の結果、依頼者は、妻子いずれに対する事件についても不起訴処分となりました。