弁護事件例

2016.06.17 【薬物事件】覚せい剤密輸

海外からの覚せい剤密輸事件で,無罪を主張したが認められず有罪となった事例

裁判員
否認

事案の紹介

 日本人の依頼人が海外から運んできたスーツケースに覚せい剤が入っていたという覚せい剤密輸の事件で,依頼人には故意がなかったと無罪を主張し,複数の証人を弁護側から請求して争ったが,有罪となった事案

弁護活動

 国選弁護人として受任した事件です。
 日本人の依頼人が,イタリアからスーツケースを持ち帰ってきたところ,空港の税関検査でスーツケースの中から覚せい剤が発見され,逮捕・勾留され,覚せい剤密輸の罪で起訴されました。
 依頼人は,覚せい剤が入っていたとは知らなかったと話していたことから,弁護人は覚せい剤密輸の故意が認められないとして,裁判員裁判で無罪を主張しました。
 依頼人は,何人もの友人に対してイタリアへ行くことを話しており,その時には違法薬物について話していないことはもちろん,重大犯罪に関与するような緊張感や不安感をまったく見せていませんでした。
 そこで,弁護側からは,依頼人の友人を2名証人として請求し,依頼人から聞いた話やその時の依頼人の様子などについて,証言をしてもらいました。覚せい剤密輸と分かってイタリアに行くような態度が見られなかったことを証明し,無罪の主張の根拠の1つとしました。
 裁判では,こうした友人の証人尋問の他,依頼人自身の話も詳しく聞くなどして,依頼人が覚せい剤の存在を知らなかったことを裁判官や裁判員に納得してもらえるよう試みました。
 しかし,判決では,弁護側の主張は認められず,依頼人は有罪となり懲役10年の刑が科されました。