事案の紹介
日本人の依頼人が友人から預かったスーツケースに覚せい剤が入っていたために逮捕・勾留されたが,依頼人が覚せい剤の存在を知らなかったことを裏付ける証拠を弁護人が検察官に提出した結果,不起訴となって釈放された事案
弁護活動
依頼人は,20代の日本人男性で,事件前はカナダで暮らしていました。依頼人が日本に帰国する際,カナダ人の友人からスーツケースを渡され,親族に渡すよう頼まれました。友人がその依頼を受けて,スーツケースを日本に持ち込んだところ,空港の税関検査で覚せい剤が発見されてしまいました。
依頼人は,スーツケースに覚せい剤が入っているなどとは疑いもしていませんでしたが,覚せい剤密輸の嫌疑をかけられ,逮捕・勾留されてしまいました。
勾留後に,国選弁護人として受任しました。
依頼人から詳しく話を聞くと,スーツケースを運ぶよう依頼を受けた経緯などに,不自然な点はありませんでした。また,友人とのやり取りなどに,メールやSNSなどを利用していることが分かりました。
そこで,弁護人は,依頼人がやり取りをしていた事件に関するメールやSNSのメッセージを集め,依頼人の話と整合することを確認しました。また,依頼人の友人や親族からも情報を集め,有益なものがないか検討しました。
そして,依頼人の話をメール等の裏付け証拠を基にまとめた上で,検察官に提出し,依頼人には嫌疑がないため不起訴とするよう検察官に求めました。
結果として,依頼人は不起訴となり,20日間の勾留後に釈放されました。
依頼人が勾留された場合,起訴されるか不起訴となるか決まるまでの期間は,20日程度しかありません。その間に弁護人が有利な証拠を集め,検察官に提出することができれば,起訴が避けられることもあります。
起訴されるかが決まるまでの捜査段階では,適切な証拠収集を迅速に行うことが求められます。そうした弁護活動が成功したといえる事例でした。