事案の紹介
会社の代表者らが、架空の仕入れを計上するなどして、消費税及び所得税の不正還付を受けたという事案でした。依頼人は、一従業員であり、そのような不正な処理について認識していないとして否認していました。
弁護活動
逮捕勾留後、国選弁護人として受任しました。
受任当日に依頼人に接見し、事情を聴きました。依頼人は関与を否定していたため、取調べにおいて関与を認めると受け止められかねないような供述をしないよう、黙秘権を行使するよう助言しました。
特に、この事件は、東京地検特捜部が担当している事件でした。特捜部とは、税務犯罪や企業犯罪について独自に捜査を行う検察官によって構成されています。このような事件では、客観的なデータ等の分析をすることはもちろん、関係者の取調べを行い、供述を獲得する捜査を行います。供述によらなければ判明しないことも多く、過去には、問題ある取調べにより、虚偽の自白をさせられた例があるほど、特捜部の取調べは厳しいものといわれています。
本件も、依頼人が虚偽の自白などをさせられることがないよう、黙秘権の行使を徹底させました。そして、依頼人には可能な限り連日の接見を行い、必要な事情聴取や助言を行いました。
依頼人は最後まで黙秘権行使を貫徹し、事件は不起訴となって終了しました。