弁護事件例

2016.06.17 【殺人】

殺人事件で,不起訴となった事例

不起訴
捜査弁護
裁判員
否認

事案の紹介

親と同居していた被告人が,親に殺されると思い込み,自宅にあった包丁で親を刺して殺害した事案

弁護活動

被疑者国選弁護人として担当した事件です。

被疑者に接見すると,親から殺されるところであったので,今回の事件は正当防衛であると主張していました。
これまでの経歴等をお聞きしたところ,仕事もしていますが,精神科への通院歴等もあり,責任能力に問題がある可能性もありました。

その後,鑑定留置となり,精神科医の先生が3ヶ月ほどかけて鑑定を行いました。
弁護人としても,鑑定結果が重要だと考えましたので,鑑定を担当する医師と面談し,必要な情報提供をしていきました。

鑑定結果は,妄想性障害で心神喪失というものでした。
本来的には,精神科医が責任能力を判断するものではありませんが,検察官がそれを尊重し,不起訴処分となりました。

不起訴と同時に医療観察法に基づく申立がなされ,後日,入院処遇が相当だとされました。
過去の措置入院時点では統合失調症と診断されており,疎通性の良さなどから,上記診断には疑問がありましたが,精神科医によって診断が異なる現状があり,この種の事案の難しさとなっています。