弁護事件例

2016.06.17 【交通犯罪】過失運転致死

ダンプで横断歩道を歩行中の歩行者をはねて死亡させた自動車運転過失致死の件で,執行猶予判決となった件

執行猶予
在宅

事案の紹介

被告人がダンプを運転し,青信号を右折する際に,横断歩道を歩行中の被害者に気づかずに進行し,被害者をはねて死亡させた事案で,執行猶予判決(禁錮2年6月・執行猶予3年)となった事件
(平成25年末に起訴された事件で刑法211条2項で起訴された事案)

弁護活動

私選弁護人として担当した事件です。
被告人は,逮捕されたものの勾留はされず,在宅事件のまま起訴されました。

事実経過に争いはない事件でした。
被告人は,赤信号を無視したわけではありませんが,右折の際,青信号で横断歩道を歩いている歩行者をはねる事故態様は相当悪質であり,実刑の可能性もあるかと思われました。

弁護活動としてまずやったのは,なぜ,そのような見落としをしてしまったのかを考えることでした。同じ大きさのダンプに乗り,事件現場を何度も繰り返し走ってみました。そうしてみた結果,電柱や看板の柱や運転席と窓の間のピローの関係で視界が思ったほどよくなく,被害者の位置が見えにくい瞬間があることが分かりました。
弁護人は,ダンプの運転席付近から撮影した写真などを証拠にしました。

また,遺族に直接謝罪することを申し入れましたが,こちらは受け入れてもらうことができませんでしたので,謝罪の手紙だけを受け取ってもらいました。

勤務先会社では,被告人の状況を知った上で,車の免許が必要ない仕事を与えてくれることとなり,今後も雇用が継続されることになりました。

法廷でも,勤務先の社長や被告人の妻が証言し,被告人に対して執行猶予判決が相当であることを弁論で述べました。