事案の紹介
友人とのケンカの末、殴る蹴る、踏みつけるなどの暴行を加えて死亡させた事案。普段から仲の良い友人だったが、当日の些細な出来事から怒りが蓄積し、マンションの一室でケンカとなり、暴行を加えてしまった。その後、友人が息をしていないことに気付いたものの放置したが、血の跡などをマンションの清掃員が発見し、通報されて逮捕された。
弁護活動
起訴された後、国選弁護人として事件を受任しました。
裁判は、裁判員裁判として審理されました。
依頼人は事実関係を認めていたため、もっぱら被告人にふさわしい刑をどう考えるかが争点になりました。暴行としては、悪質な部類であることは否定しがたい事例でした。特に、顔面を踏みつけた行為が悪質で、これにより亡くなってしまっていたため、一定程度の重い量刑は覚悟しなければならない事件でした。
検察官は、暴行の悪質性などを重視して懲役10年を求刑しました。弁護側は、依頼人がなぜ暴行に至ってしまったのかという動機や原因に目を向けてもらうことを意図した主張・立証活動を行い、懲役6年が相当だとの意見を述べました。しかし、裁判所は、検察官の主張を基本的に受け入れ、懲役9年の判決を宣告しました。