事案の紹介
依頼人は、交際相手に暴力をふるい、危害を加える旨の脅迫を行ったとして逮捕されました。依頼人は、交際相手や元妻に対して暴力をふるった前科があり、罰金刑のほか、執行猶予付き懲役刑を言い渡されたことがありました。この事件は、執行猶予期間経過後数年で起こしてしまった事件でした。
弁護活動
逮捕後、私選弁護人として受任しました。
受任後すぐに被害者との間で示談を行おうとしましたが、被害者が示談を拒んだため、不可能でした。事件は起訴され、裁判になりました。なお依頼人は、逮捕当時から拘束されていましたが、裁判の期間中に保釈されました。
依頼人の話を聞くと、今回は依頼人が暴力をふるってしまったが、日ごろからケンカが絶えず、普段は被害者からの暴力のほうが多かったとのことでした。そこで裁判では、この事件はいわゆるDV(ドメスティックバイオレンス)の事件ではなく、日ごろのケンカの延長であるとの主張を行うことにしました。
弁護人において、過去に被害者から暴力を振るわれて病院に行った際のカルテや、被害者が過去に暴れて壊した家財の写真などの証拠を集め、関係者に協力を仰いで証人に立ってもらうなどの立証活動を行いました。
被害者を法廷で反対尋問し、普段からケンカが絶えず、暴力をふるっていたことを認めさせる尋問を行いました。
検察官は、依頼人を実刑に処すべきという意見を述べました。弁護人は、この事件はDVの事件ではなく、普段のケンカの延長であるから経緯を考慮すべきであるとの意見を述べ、執行猶予を求めました。
判決は、弁護人の主張を一部受け入れ、実刑ではなく、執行猶予判決を言い渡しました。