弁護事件例

2016.06.26 【交通犯罪】危険運転致死

危険運転致死事件で保釈が認められた事例

裁判員
否認
保釈
少年

事案の紹介

「重大な危険を生じさせる速度」で自動車を運転して被害者車両と衝突し、被害者車両運転手1名を死亡させたほか、被害車両乗員1名及び自車の同乗者3名に重傷を負わせたという事例。

弁護活動

依頼者は、事件発生当時未成年であったため、家庭裁判所の審判の結果、成人と同じ刑事裁判を受けることになりました(いわゆる、「逆送」となった事例)。
担当弁護士は、刑事裁判を受けることが決まった時点で、国選弁護人として受任しました。

弁護人は、起訴後直ちに保釈請求を行いましたが、すぐには認められませんでした。
検察官は、本件が極めて重大な被害結果が発生しており実刑の可能性が高いことや弁護側が危険運転致死傷罪の成立を争っていること(弁護側で自動車工学の専門家に鑑定を依頼し、検察官が考えるような事故態様ではなかったことを主張することとなりました。)などから、強行に保釈に反対していました。

弁護人は、3度目の保釈請求を行い、公判前整理を重ねたことで、主張や証拠の整理がされていることから、否認していることは保釈を認めない理由とはならないことを訴えました。さらに、依頼者が身体拘束を受けている状況で裁判の準備を行うことは困難であることや依頼者自身が本件事故で大きな怪我を負っており長期間の身体拘束の負担が大きいこと等の事情から保釈の必要性が高いことを裁判官に丁寧に説明しました。

その結果、裁判所は保釈を許可する決定を出しました。検察官からは、保釈許可決定に対する準抗告がなされましたが、裁判所はそれを棄却しました。

裁判の結果、依頼者には実刑判決(未成年なので不定期刑が選択されました。)が下されましたが、保釈が認められていたことで、被告人質問の打合せ等を弁護人とスムーズに行うことができました。また、判決までの期間、自宅で過ごすことができたため、将来の生活や被害弁償のこと等についても、家族と十分に話し合うことができました。