国選弁護と私選弁護の違い
国選弁護人 |
私選弁護人 |
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誰にするか選べるのか | 選べない | 自由に選べる |
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誰が決めるか | 国(裁判所) ※あらかじめ登録されている国選弁護人の名簿の中から選ばれる |
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弁護人の人数 |
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自由(ただし捜査段階は原則3人まで) |
できること(権限) | 同じ | |
能力の違いは | その弁護士の技量による。国選か私選かにより決まるものではない。 | |
選任の時期は | 勾留後 | いつでも可能 |
逮捕されずに取調べを 受けている場合は(在宅捜査) |
国選はつけられない | いつでも可能 |
交代・解任 | 原則不可 | 自由 |
point.1
私選弁護人の特徴
「私選弁護人」とは,ご本人またはご家族が弁護士と契約をしてつける弁護人をいいます。直接,ご本人またはご家族から費用をいただき,弁護活動を行う弁護人です。
1 費用弁護士の報酬は,それぞれの事務所や弁護士ごとに決まります。何について報酬が発生するかも,事務所によって異なります。たとえば,事務所によっては,保釈が認められた場合に,保釈金の一部を報酬として受領するという場合もあります。また,接見ごとに日当が生じるという事務所もあります。一般的な着手金・報酬金の他に,こうした費用も発生するか,依頼する前に費用をよく確認されるとよいでしょう。 |
2 人を選べる多数の弁護士の中から,ご自身で誰に依頼するかを選ぶことができます。 |
3 依頼できる時期弁護人を依頼できる時期も,自由です。たとえば,警察から事情を聞きたいといわれている,という段階から,相談を受けることができます。 |
point.2
国選弁護人の特徴
「国選弁護人」とは,国(裁判所)により選任される弁護士をいいます。国選弁護人には以下のような特徴があります。
1 費用国が弁護士の費用を負担し,弁護士が活動を行いますが,終了後,裁判所の判断により弁護士の費用をご本人負担とされる場合もあります(ただし,私選の弁護士費用よりはかなり低額になることが一般的です)。 |
2 人を選べないどの弁護士に依頼するかを選ぶことはできません。国選弁護人は予め名簿に登録された多くの弁護士から選ばれるのが原則です。後で変更することも,原則としてできません。ただし,後で私選の弁護人を選任することはできます。 国選弁護人の名簿に掲載されるためには弁護士会での最低限の研修を受けることを要件とされることが多いですが,必ずしも刑事事件の経験が豊富な弁護士,知識が十分な弁護士ばかりではありません。 |
3 事件が限定されている勾留という身体拘束を受けた段階で,すべての事件に国選弁護人が選任されるわけではありません。 ①法律で定められた刑の重さにより,国選弁護人が選任される事件かどうかが決まります。たとえば,迷惑防止条例違反(痴漢・盗撮など)や器物損壊などでは,起訴されて裁判になるまで国選弁護人は選任されません(2018年6月には被疑者国選弁護の対象事件は勾留決定された全ての事件になる予定です)。 ②また,身体拘束がなされていない事件も,裁判にならない限り国選弁護人は選任されません。 このような国選弁護の対象にならない事件で早期から弁護士のアドバイスを受けるためには,私選での依頼をしていただく必要があります。 |
4 依頼できる時期が限定されている国選弁護人が選任されるのは,早くとも,逮捕後のさらなる身体拘束(勾留)がなされた後です。逮捕されてすぐに弁護士を選任することは非常に重要ですが,国選弁護ではそれができません。 ただし,各弁護士会の「当番弁護士制度」を利用することにより,逮捕直後にも弁護士を呼べる制度があります。「当番弁護士制度」は1回だけ無料で弁護士を呼ぶことができる制度です。その弁護士に私選の弁護を依頼することもできます。また,その弁護士に国選での弁護を依頼することが可能な場合もあります。 |
5 人数の制限がある国選弁護人は,原則として1人です。裁判員裁判の対象となるような重大な事件に限り,2人の弁護人が選任される運用になっています。一方で,私選であれば,契約の内容により,2人以上の弁護人を選任して弁護活動を行うことは自由です。 |
point.3
私選弁護人のメリット
私選弁護人を選任するメリットは,自分で弁護士を選べるというところです。
国選弁護人は,一般的に,弁護士会で管理する名簿に登録されている人から選ばれます。具体的には,その名簿搭載者にはそれぞれの担当日が決められています。担当日に弁護士を派遣する必要が生じた場合には,その担当者に事件が配点されます。名簿の登載要件は弁護士会ごとに決まっていますが,1回の研修を受講するだけでよい等,その要件は決して厳しいものではありません。 裁判員裁判の対象事件については,名簿への登載要件が通常の事件よりも厳しくなっている弁護士会もあります。ただ,それでも研修の受講など形式的な要件が課されている場合が多く,名簿に登載されているからといって実力ある弁護士であるとは限りません。 それに対して,私選弁護人の場合は,ご自身で,実力・経験のある弁護士に依頼をすることができます。 |
また,裁判員裁判事件では,二人の国選弁護人が選任されるのが一般的ですが,それ以外の事件では,たとえ否認事件であったとしても,二人以上の国選弁護人の選任が認められるケースは多くありません。 一方,私選弁護人の場合は,複数の弁護士による受任も自由に行うことができます。 否認事件は,一般的に,証拠が膨大となり,裁判も長期化するため,行うべきことが多くなります。当然,依頼者の方と何度も打合せをすることも必要になります。そのため,一人で受任するより,複数で受任した方が,より充実した弁護活動を行うことができます。 |
さらに,私選弁護人のメリットは,選任の時期を選ばないというところにもあります。 国選弁護人が選任されるのは一番早くても,勾留後です。しかし,この勾留までの間にも取調べは行われます。弁護人が選任されるまでの間に,取調べへの対応を誤ることが,裁判において決定的なダメージとなることがあります。弁護人の選任は少しでも早い方がよいといえます。 また,逮捕・勾留という身体拘束を受けないときには,正式な起訴をされ,裁判になることが決まるまでの間は,国選弁護人は選任されません。しかし,そもそも正式な起訴をされるかどうかが決まるまでの間に,弁護人を選任し,適切なアドバイスを受けることにより,起訴されること自体を防ぐことができるケースもあります。 |
このように,私選弁護人のメリットは,いつ選ぶか,誰を選ぶなどかが自由であることから,実力のある弁護士に適切なアドバイスを受けることで,最善の防御ができることにあるといえます。 なお,国選弁護人が選ばれた後も,別の私選弁護人を依頼することはできます。その場合,私選弁護人を選任した時点で,国選弁護人は解任されることになるのが原則です。 |